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バックアップ換気

工呼吸管理中,バックアップ換気に移行することがありますが「バックアップ換気になったから大丈夫」とバックアップ換気任せにしていませんか?

このエントリーではバックアップ換気について確認していきたいと思います。

まず,バックアップ換気<Apnea(Apnoea) ventilation>とは,

T Apnoeaアラーム(無呼吸警報)で設定した時間(秒),自発呼吸を感知しない時間が続くと安全を確保するために強制換気に移行する。バックアップ換気移行後はリセットボタンを押すまで設定されている ”f Apnoea” “VT Apnoea” に従った従量式の強制換気が続けられる。

from:『人工呼吸器装着患者のケア ポケットブック』
八尾徳洲会総合病院 看護部 RST

例えば,強制換気のないCPAPモードやASB(PS)モードであったり,SIMVモードやBIPAPモードのウィニング中で(強制)呼吸回数設定”f”を減らしている時に患者さんの自発呼吸が止まってしまったら?その程度にもよりますが大変なことですよね。

そんな時,「おっと!この患者さん,息止まってんで」と教えてくれるのがT Apnoeaアラーム(無呼吸警報)。それに連携して「ほな,強制換気やな」と換気するのがバックアップ換気。

T Apnoea (ティー アプニア)
アラームを鳴らし,同時にバックアップ換気に移行するまでの自発呼吸停止時間(秒)。当院のエビタ4・ザビーナの初期設定は[15(秒)]。ちなみに,T ApnoeaのTは『Time』→Time Apnoea(無呼吸時間)。
VT Apnoea (ブイティー アプニア)
バックアップ換気時の1回換気量の設定値。例えば,[500]と設定している場合は,バックアップ換気に移行すると500mlの1回換気量で強制換気が行われる。当院のエビタ4・ザビーナの初期設定は[500(ml)]。VTは『Volume Tidal(1回換気量)』。
f Apnoea (エフ アプニア)
バックアップ換気時の換気回数。例えば,[15]と設定している場合,バックアップ換気に移行すると1分間に15回のサイクルで強制換気が行われる。当院のエビタ4・ザビーナの初期設定は[15(回)]。fは『frequency(頻度)』→換気回数。

注意!患者さんによって体格や肺の状態が異なるため,必ずしも全ての患者さんに初期設定が適切であるとは限りません。初期設定の[VT Apnoea]が少ないとか多すぎるなど,患者さんによってはバックアップ換気設定が不適切(危険)な場合もあります。主治医に指示として確認しておきましょう。

バックアップ換気は患者さんの安全を守るための重要な機能です。ちょっとばかり昔の人工呼吸器は無呼吸アラームだけでしたが,最近の人工呼吸器にはバックアップ換気機能が搭載され,「患者さんに安全,私たちにとっても安心」な機能です。

しかし,バックアップ換気で安心しすぎてはいけません。それはバックアップ換気に移行すると,その後自発呼吸が出ても,私たちが「バックアップ換気やめてええで」とリセットボタンを押すまでずっとバックアップ換気が続けられるからです。バックアップ換気が続けられることでウィニングが進まないということもありますが,もうひとつ好ましくないことがあります。

もう少し,バックアップ換気について詳しく見てみましょう。
今度は人工呼吸器「エビタ4」の取扱説明書から ―。

  • 酸素濃度“O2”と吸気終末陽圧“PEEP”の設定値はバックアップ換気中も有効
  • 吸気時間“Tinsp”は‘環境設定'された電源投入時の“I:E”と”f Apnoea”によって自動的に決定する
  • 当院のエビタ4とザビーナは“Tinsp 1.2”で環境設定されている

  • バックアップ換気で行われる強制換気はトリガが可能であるがASB(PS)は付加されない
  • BIPAP,APRVおよびAutoFlowを付加している換気モードではAutoFlowによる強制換気が行われる
  • AutoFlow:最低限の気道内圧になるよう吸気フローを自動的に調整する機能。詳細は取扱説明書や人工呼吸関連図書を参照。

上記の記載内容が判らない場合は,要するに「患者さんにあわせた細かい設定はできない」と思っていただければ良いと思います。

ビタ4やザビーナでは従圧式のモードを使用していたとしてもバックアップ換気では従量式の強制換気となります。バックアップ換気の仕様は人工呼吸器の機種によって若干異なりますが,いずれも強制換気で,SIMV,BIPAPなどの各項目を設定するのとは異なり,バックアップ換気の細かな設定はできません

このようなことから,強制換気が続けられると自発呼吸が戻っても自分のタイミングで自由に呼吸することができないし,バックアップ換気が入る前の患者さんにあわせたモードの各項目で最適な設定にしていたとしてもそれを生かすことが出来ません。また,エビタ4やザビーナのように強制換気中にトリガできたとしてもASB(PS)が付加されないのであれば自発呼吸時の患者さんの仕事量が増えてしまうかもしれません

Memo ASB(PS)
患者の自発呼吸を補助する機能。自発呼吸の吸気時に後押し(サポート)することで吸気努力時の仕事量を軽減させる。

バックアップ換気への移行を認めた時は放置せず,リセットボタンを押してバックアップ換気を解除し,呼吸状態を観察しましょう。

Question バックアップ換気が常に作動するほど無呼吸が続く場合は?

Answer 換気設定が適切でない可能性もあります。覚醒している時は自発呼吸がしっかりある患者さんでも入眠すると呼吸が止まってしまう患者さんもいます。医師に患者さんの状態を報告し相談しましょう。

最後に余談ですが。

工呼吸器や生体監視モニターのアラームが鳴った時,中には音に慣れてしまっている患者さんや家族もいますが,多くの方は大変不安になります。

私たちはわかっていても,患者さんや家族の方はそのただならぬ音から「どうして鳴っているのかしら?大丈夫なのかしら?看護師さーん!!」という不安な表情をされる方,声をかけようかどうしようか躊躇されている様子の家族を見ることもあります。

そのような時はこちらから「咳で呼吸が乱れたためにアラームが鳴りました。もう落ち着きましたから大丈夫ですよ」などアラームの原因を簡単にわかりやすく伝えると安心されます。

「バックアップ換気」については,RSTで作成した『人工呼吸器装着患者のケア ポケットブック』のコラム(Page.8)でも扱っています。ポケットブックではページ数・スペースの関係もありサラッと(ごく簡単に)書いたので,今回このエントリーで補足しました

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